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ツルの里

空を飛ぶナベヅル
八代は、鹿児島県の出水市とともに全国で2ヶ所、本州では唯一のナベヅルの越冬地です。
 八代全域は、大正10年(1921年)内務大臣によって「天然記念物八代村鶴飛来地」として指定され、昭和30年1月29日には文化財保護委員会によって八代村の鶴及びその渡来地が特別天然記念物に指定されました。
 明治の初め頃までは日本各地にツルが渡って来ていましたが、明治20年頃には各地のツルは捕りつくされ、八代のツルでさえ20羽に満たないほどになり、絶滅寸前の危機となりました。そこで八代村長は県知事に捕獲を禁止するよう請願しました。
 これをもれ聞いた山口の大内村の一人が、禁止にならぬうちにと、下男を連れて八代に来て鉄砲で2羽を傷つけ、1羽を殺してしましました。
 村人は大いに怒り、なじりましたが禁令がないのでどうすることもできず、殺したツルを平然と持ちさるのをみているだけしかできません。
 村長は、ただちに事情を詳しく報告して捕獲禁止を早急に行うよう知事に懇請したので、明治20年4月6日、ついに禁止の県令が発せられました。
さて、負傷した2羽は、その後も毎年やって来ましたが、明治28年、その1羽は春になっても帰っていくことができなくなりました。松尾の農民・瀬来孝蔵はこれを憐れみ、自宅で50日余りも看護につとめましたが、ついに死んでしまったので、裏の林の中に手厚く葬って、小さなツルの墓を自ら刻んで建ててやりました。 大正10年にこの墓は現在地(上市・右写真)に移され、その後、病気やケガで死ぬツルがあれば、ここに埋葬して里人や子どもたちが墓の掃除をしたり、花を供えたりして、その冥福を祈ってきました。
 現在でも、毎年、地元の人々の手でツルの慰霊祭が行われ、八代小学校の子どもたちが、昔から伝わる「鶴の舞い」を奉納しています。
ツルの墓
 大正10年に八代が「天然記念物八代村鶴飛来地」に指定され、ツルのことが世に知られることとなると、年々観光客が増え、大正15年2月には高松宮様が、昭和4年には秩父宮様が八代村に来られました。
 戦後になって、土地改良によって湿田が減り、農薬などでツルのエサでありましたドジョウやタニシなど魚介類がほとんど姿を消し、車などの騒音が増大したことなどから、昭和15年(1940年)ころは、350〜360羽を数えたツルの数が年々減り、町内の高水や三丘、また中須方面に飛んで来ていたツルも見られなくなりました。

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